民法改正【約款(定型約款)に関するルールの見直し】 (2020.04.02)
不特定多数の顧客を相手方として取引を行う事業者は、予め詳細な契約内容を『約款』として定めておき、この約款に基づいて契約を締結しているケースが多くみられます。
しかしながら現行の民法では、約款を用いた取引に関する基本的なルールが何も定められていませんでした。
このような実情を踏まえ、今回の改正で、新たに「定型約款」に関して、次のようなルールを新しく定めています。
但し当事者間で約款と呼ばれるものであっても、改正後の民法の定義に該当しないもの(事業者間で用いられる契約書の雛形や労働契約に用いられる契約書など)には以下のルールは適用除外となりますのでご注意ください。
以下のどちらかを満たす必要があります。
②取引を実際に行う際に、定型約款を契約の内容とする旨を顧客に「表示」しておく
「表示」されたといえるためには、実際に取引を行う際に、顧客である相手方に対して定型約款を契約の内容とする旨を個別に表示することが必要です。
定型約款にどのような条項が含まれるのかを知らなくても、個別の利益を一方的に害する不当な条項は、①や②を満たす場合でも、契約内容にはなりません。
今回の改正で、事業者が定型約款を変更するための要件について、新たに2つのルールを設けています。
②変更が契約の目的に反せず、かつ、変更に係る諸事情に照らして合理的な場合
顧客にとって必ずしも利益にならない変更については、事前にインターネットなどで周知が必要です。
変更が合理的であるかどうかを判断する際には、
・変更後の内容の相当性
・変更を予定する旨の契約条項の有無やその内容
・顧客に与える影響やその影響を軽減する措置の有無
などが考慮されます。
また、約款中に『当社都合で変更することがあります』と記載してあっても、一方的に変更ができるというわけではありません。
次回トピックスでは【民法改正による経過措置】を取り上げていきます。
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