不動産売買の「電子契約」が可能になりました。 (2022.05.26)
2022年5月18日に宅建業法施行規則等が一部改正されます。
これにより、改正後は不動産売買契約の完全オンライン化も可能となります。
これまで不動産業界では、借地借家法や宅建業法等の諸々の法律の規制による押印や書面の交付等が阻害要因となり、他の業界に比べデジタル化が遅れていました。
生活用品等の日常品はまだしも、不動産という高額な資産に関する取引の場面においては、トラブルの防止という観点から書面による契約が必要とされるていた事に無理はありません。
しかし現代のビジネス社会において、使用される契約書の多くは電子化が認められており、各業界のペーパーレス化・非対面化はより一層推し進められています。
今回、政府による「脱ハンコ」「ペーパーレス社」の実現を目的としたデジタル改革関連法の一環として、遅ればせながら不動産取引においてもデジタル化の波が到来しました。
この法改正は、不動産取引をよりスムーズにし、売主・買主の手間や労力を軽減させるものだといえるでしょう。
今回の改正で、電子化が可能となるのは次の書類です。
・媒介契約締結時書面
・指定流通機構への登録を証する書面
・重要事項説明書
・契約締結時書面
なお、法改正施行後も、文書自体が不要になるという訳ではありません。
紙媒体の書面を用いない場合には、電子媒体による文書データの作成義務があり、文書データの管理には、タイムスタンプ等の非改ざん性を証明できる電子技術の導入も必須となります。
不動産売買関連が電子化することで、不動産売買をする方にはどんなメリットがあるのでしょうか?
- 訪問・対面の削減で取引がよりスムーズに進むようになり、業務効率の改善に繋がる
- 印紙税の負担がなくなるなど、金銭的なメリットがある
- 膨大な契約書・書類を一元管理できる
しかし、法改正直後からすべての不動産会社で書類の電子化が始まるわけではありません。
電子取引の際には次のような注意点もあります。
・相手方に電子契約の承諾が必要な場合もある
・トラブル防止のためのセキュリティ対策
・業務フローの改善と再構築が必要
これまでの常識から大きく変化した業務フローが想定されるため、契約者本人だけでなく、現場の担当者の理解も必須といえるでしょう。
不動産取引の現場でIT化が着実に進んでいるのは事実です。
売主・買主にも大きなメリットがあることから、書類の電子化や取引のオンライン化ができるかという点は不動産会社選びに際して、今後は比較対象の1つになっていくものと考えられます。