民法改正【契約に関するルールの経過措置➀】 (2020.04.03)
改正法では、どのような場合に改正後の新しい民法が適用され、どのような場合に改正前の民法が適用されるのかを明らかにするルール(このルールを「経過措置」といいます。)が定められています。
契約に関するルールの経過措置については次のとおりです。
原則として、施行日より前に締結された契約については改正前の民法が適用され、
施行日後に締結された契約については改正後の新しい民法が適用されます。
①施行日前の2019年4月、賃貸期間を2年間として、アパートを借りた。
②施行日後の2021年3月、賃貸期間満了により賃貸借契約が終了したが、敷金の返還をめぐってトラブルになった。
⇒施行日より前に契約が締結されているので、改正前の民法が適用されます。
敷金について新たに設けられた民法622条の2などの規定は、適用されません。
◆施行日後に契約が合意更新された場合のルールの適用は?◆
施行日後に当事者の合意によって賃貸借契約や保証契約を更新した時には、当事者はその契約に新法が適用されることを予測していると考えられることから、施行日後に新たに契約が締結された場合と同様に、改正後の新しい民法が適用されます。
◆保証契約が賃貸借契約の更新後も継続する趣旨の場合は?◆
施行日前に締結された保証契約が賃貸借契約の更新後に発生する債務も保証する趣旨であり、施行日後も合意更新がされることなく当初の保証契約が継続している場合、当該保証契約については、施行日後も改正前の民法が適用されます。
定型約款については、施行日より前に契約が締結された場合であっても、原則として、施行日後は改正後の新しい民法が適用されます。
ただし、改正前の民法が適用されることを希望する場合には、当事者(解除権を行使することができる者を除く)は、書面又は電磁的記録によって反対の意思表示をすることが出来ます。
反対の意思表示がされた場合には、施行日後も改正前の民法が適用されます。
⇒【約款(定型約款)に関するルールの見直し】についてはこちら
①施行日前の2019年4月、英会話学校に入校する際、事業者(英会話学校)が作成した約款を契約内容とすることに合意した。
その約款には、契約条件を事業者の都合で変更ができる旨の条項が定められていた。
②施行日後の2021年4月、事業者が、約款に記載された契約条件を変更すると主張してきたので、変更の有効性を争いたい。
⇒定型約款については、施行日前に締結された契約であっても、施行日後は、原則として改正後の新しい民法が適用されます。
そのため、約款の変更は、相手方の一般の利益に適合する場合、または変更が契約の目的に反せず、かつ、諸事情を考慮して合理性がある場合に限って許されることになります。
次回トピックスでは【民法改正による経過措置➁】を取り上げていきます。
その他、改正民法の詳細等はお気軽にお問い合わせください。
また、弊社では不動産や相続に関する様々な内容を扱ったメールマガジンを定期無料配信しております。
下記お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください!